今夜はこれを借りて帰ろう。

周囲を振り回す女のお手本
『私は「うつ依存症」の女』

注目してもらえる「うつ病」

通常、恋愛映画といえば、2人の出会いや、結婚・別れまでのプロセスを描くなかで、舞い上がったり、駆引きしたりというポジティブな心を描くもの。でも、この作品の主人公はうつ病患者。いつも、無気力や、イライラや、理由のない不安に苦しんでいます。
(私たちにも「心が暗ぁーく落ち込んで、なんにもやる気が出ない」という日は時々ありますが、それはほとんどが身体の疲労で、うつ病とは呼びません。)うつ病は周囲からは単なる「怠け者」としか思われないという厄介な病気でもあるので、その日常は無理解との闘い。でも見方を変えると常に周りから注目されて、ちょっと羨ましい。今日はそんな「うつ」の魅力をご紹介します。

初体験の発表会


初めての相手をクラブで

『私は「うつ依存症」の女』の主人公リジー(クリスティーナ・リッチ)は親の期待を一身に受け、名門大学に入学。輝くような新しい世界に踏み出し、恋に落ち、初めてエッチを経験します。
ところが彼女はちょっと変わった女の子。自分の初体験の報告会として、友達を大勢招待し「喪失パーティー」なる珍妙な宴会を開いてしまったのです。これには、せっかくできたボーイフレンドもカンカン。
リジーは傷心から不眠不休でタイプライターに向かい、身体が臭い出すまで風呂にも入ろうともせず、まるで廃人同然の生活を始めます。もう立派なうつ病ですね。
しかし、友人や家族のサポートもあり、新しい恋人も見つけ、なんとか精神状態を立て直そうと再び努力を開始しますが……。

迷惑かけ放題でも優しく見守られる


鬱のどん底にいるリジー

クリスティーナ・リッチ扮するリジーは、一見するとキュートで知的で、思いやりのある常識人。でも、彼女の発言と行動は、ある種の破壊力に満ちています。
友達には心配掛け放題。恋人には迷惑掛け放題。さらに親には心配と迷惑の他に、治療費による莫大な散財までさせているのに、優しく見守られるのですから、まさに翻弄の天才です。
リッチの表情が、土屋アンナと似て見えるので、距離感を感じず入り込みやすいのもオススメのポイント。周りをきりきり舞いさせたいみたいという方は、是非今夜はこれを。 映画をマニアックに楽しむおまけコーナー

リッチはある雑誌の表紙にトナカイの毛皮を着て登場したことから、世界的な動物保護団体PETAから≪2006年最悪ファッションセレブ≫に選ばれました。リッチのファンサイトを運営していたオーナーも動物愛好家だったため、リッチのサイトを閉鎖。
これを受けたリッチは、ファンを失望させたことを深く反省し、PETAは最悪ファッションセレブから彼女の名を外すことに決めました。
欧米では毛皮に対する意識が変わり、動物たちの死体を着る残酷な人という目で見られることが多くなりました。リッチほどの女優さえ、毛皮でキャリアを失いかけたほどです。
しかし日本ではまだその意識は低く、欧米の記者が大勢押しかける「東京国際映画祭」で、沢尻エリカは誇らしげに豹柄のコートを披露。プレスの人たちは眉をひそめてしまいました。

2001年/アメリカ/99分
配給:アート・ポート
監督:エーリク・ショルビャルグ

次回の「今夜はこれを借りて帰ろう。」は2月2日アップの予定です。

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