「流行」とか「最先端」ということをイメージしてほしいとき、実はそれほどブームになっていなくても「今、話題の……」ということばをマスコミはよく使います。けっこう曖昧な使われ方をする「今、話題の……」ですが、今日ご紹介する「マリー・アントワネット」は正真正銘の話題作です。
その証拠に、日本で発行されている雑誌は全部合わせても600ちょっとなのに、取り上げられた回数は1500回と、大きな話題になったのです。
主演のキルスティン・ダンストは、この作品の少し前に、オーランド・ブルーム主演の『エリザベスタウン』という地味な作品で、彼の恋人役を演じていますが、当時はまだ無名の女優さん。
それに、日本で海外の歴史物が当たることは稀なケースなので、最初はあまり期待されていなかったようです。しかし、往年の名作コミックからじゅうぶん過ぎるアントワネット知識を育んでいたマスコミや女性たちが注目したことで、前評判に火がつき、興行成績も25億円というすばらしい数字を残しています。

ところで、歴史映画というと「重い」「暗い」「冷たい」というイメージがつきまといますが、この作品のヴェルサイユ宮殿は、人の生活するスペースとして、明るく潤いのある雰囲気を感じさせてくれます。
生けられたバラ、女性たちのドレス、随所に登場するフルーツたっぷりのケーキ(ワンちゃんだってケーキを食べるぞ)を観ていると、マリー・アントワネットが求めていたのは、かわいいものに囲まれていたいという女性らしい感覚だったということがなんとなくわかります。

監督のソフィア・コッポラは、幻想的な5人姉妹が登場する『ヴァージン・スーサイズ』で監督デビューし、日本を舞台にした『ロスト・イン・トランスレーション』でアカデミー賞を受賞したアメリカを代表する女の監督さん。
女性の微妙な心のゆれを描くことを得意とする半面、登場人物たちの社会的な立場にはあまり関心がないようです。
マリー・アントワネットをわざわざ田舎っぽい容姿のキルスティンに演じさせ、単なる若い女性と位置づけているところが究極のガーリッシュ(少女らしい)ムービーとわれる理由なのでしょう。
是非、今夜はソフィア・コッポラにしか描けないモダンでヴィヴィッドな宮廷世界をお楽しみ下さい。
2006年/アメリカ/123分
次回の「今夜はこれを借りて帰ろう。」は8月3日アップの予定です。
※当サイトでは高収入アルバイトの情報を提供しております。18歳未満(高校生含)の方は閲覧をご遠慮下さい。