
今回は2007年2月に公開された「さくらん」をご紹介。
公開から半年ちょっと、もうDVDが発売されちゃうんですよ。この速さは、ビデオの時代だったら、物理的に無理だったと思います。そういう意味ではDVDってホント偉大。
公開の時の記憶が残っているうちにリリースすれば、それだけ強くアピールできますしね。
この「さくらん」、皆様ご記憶の通り、主演は土屋アンナでしょ、音楽は椎名林檎でしょ、原作は安野モヨコの大ヒットコミックだし、監督は蜷川幸雄の娘・実花の初監督作品、と話題てんこ盛り。

「さくらん」は、吉原を舞台にした作品だけに、遊女に扮した旬の女優たちのセックスシーンが次から次へ……と思ったら、印象に残るのは赤い色。
この作品はひたすらあかい、果てしなく赤い、限りなく紅い。遊女達の腰巻や長じゅばんは言うにおよばず、ふとん、壁、障子、窓ガラス、床の間の花、金魚まで、とにかくすべてが赤いんです。
あまりにも力みすぎて浮世離れした空間になってしまい、“苦界”というよりもはや“魔界”。
でもこのやりすぎ感が絶大な効果を発揮し、一部からは映像美と讃えられているのです。

ストーリーは吉原に売られた少女の成長物語。
八歳の時、吉原に連れてこられた女の子はきよ葉と名づけられ、手酷い折檻を受けてもモノともしない強情な性格で、遊女へと成長してゆく。
遊女になっても鼻っ柱の強いのは相変らずで、先輩遊女の皮肉にブチキレると、お客の前でも、飛び蹴り&頭突きの大乱闘を始めるという素行の悪さ。その上、嫌いなお客はお侍でもお金持ちでも平気ですっぽかすという遊女にあるまじきツワモノに成長する。
しかしこの噂が気の強い遊女を好む男たちの注目を集め、たちまち売れっ子に。やがて、店一番の花魁となり、武家からの身請け話が持ち上がるが……。

土屋アンナの乱暴で豪快な演技は、演技というより格闘技。特徴のあるガラガラ声で切るタンカを聞けば残暑も吹っ飛ぶ爽快さです。寝苦しい夜には是非これを。
次回の「今夜はこれを借りて帰ろう。」は9月7日アップの予定です。
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