
秋の訪れを感じるとエルヴィス・コステロの名曲『She』が聴きたくなってしまうコレクミです。映画『ノッティングヒルの恋人』のテーマソングとしてあまりにも有名なこの曲、みなさんも数々の名シーンとともにご記憶のことと思います。
万年赤字の旅行書専門店を経営するバツイチ男のタッカー役にヒュー・グラント。対する大女優アナ・スコット役にジュリア・ロバーツ。英米を代表する大物2人が恋人同士演じた本作は、1999年の秋を彩る大ヒット作品となりました。舞台となったノッティングヒルとはロンドンの西部にある蚤の市で有名な街。作品公開後は、撮影に使用された本屋さんや、出会いのきっかけとなるオレンジジュースを売ったカフェ『ポート・ベロ・スター』などを訪れる人が増えたということです。
このあたり、「冬のソナタ」のロケ地が、一役観光スポットに変貌したのと似ていますね。それだけ心に残る作品だったということでしょうか。 ジュリア・ロバーツは、出演当時32歳。大きな目鼻が創りだすゴージャスな表情で『プリティー・ウーマン』(1990)をヒットに導き、22歳で名実ともにトップスターの仲間入りを果たしました。それからは年に3本のペースで作品に名を連ね、「もっとも稼ぐ女優」として映画界に君臨していました。そんな時代の作品のひとつがこの「ノッティングヒルの恋人」です。
「ノッティングヒルの恋人」は、ジュリア・ロバーツをそのままイメージさせるハリウッドの大女優が、ロケ先で出会った小さな本屋と恋をする、という、とってもファンタジックな物語。いつも大勢のボディガードに囲まれているハリウッドの有名人だったら、トイレだって一人ではいかせてもらえないでしょう。実生活を地でいくスーパースターが、外国をお忍びで歩いているとき、うかつな男にオレンジジュースをぶっ掛けられるわけです。それなのに、大女優は癇癪ひとつ起こさずに男の部屋に上がりこむのです。とても、現実的には考えられないのですが、そもそもラブストーリーって誇大妄想の産物。ありそうもないことが次々起こって、出会えそうもない人に出会わなくては、話が先に進みません。
もっとも「事実は小説より奇なり」といいますから、普通に考えたら「ありえない」ことの一端が、私たちの日常にも潜んでいないとも限りません。もしかしたら、私たちがそれを見落としているだけということだってありえますよね。
そんな本作品イチオシシーンは、タッカーがアナを連れ、気の置けない仲間が集まる妹の誕生会へ出席する場面です。タッカーは仲間にアナを見せびらかすつもりなんてないのですが、アナを見た4人は、最初、舞い上がったり、ギャラの金額を聞いてびっくりしたりと、珍客への対応に困惑気味。
超有名人と一般人のギャップには、思わず笑いをさそわれます。しかし食事が進み、会話が弾むにつれ、4人はアナを仲間として暖かい雰囲気で包んでゆきます。おそらくタッカーは忙しいアナに、英国流のもてなしを味わってほしかったのでしょう。タッカーの思いやりが伝わってくる印象的なシーンでした。
そして、ハイライトはサボイ・ホテルでの記者会見。アナは、普通の世界に住むタッカーを本当に伴侶に選ぶのでしょうか?記者たちに衝撃が走ります!
すでに見ている人は、もう一度あの感動を味わい、まだ見ていない人は、ラブコメディの真髄を楽しめることうけ合いですので、是非、今夜はコレを。
1999年/アメリカ/123分
配給:松竹・ギャガ
監督:ロジャー・ミッチェル
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