恋の花びら大回転

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【第93話】催眠術に挑戦! その2

2017.9.5

Nさんの説明によれば、催眠術によって赤面症や男性恐怖症も治るし、「全身が敏感になって、感度が何倍にも上がる」のだとか。ありえないとわかっていても、ちょっと期待してしまいます。

振り子が終わると、次は私の緊張をほぐす催眠をかけてくれました。

「今から僕が3つ数えると、全身の力が抜けて完全にリラックスできます。3、2、1…」

半信半疑だった私でも、これは簡単にかかりました。男の人の低い声で、

「あなたは今から、深くて静かで気持ちいい世界に、ゆっくりと落ちています」

「日常のいやなことは全部忘れて、全身の力がふにゃーっと抜けていきます」

と囁かれると、本当に気持ちよくなってくる。睡眠術というか、暗示ですね。

正直、ここで終わってくれれば、「催眠術ってほんとにあるのかも」くらいの気持ちになっていた気がします。しかし、体の力が抜けた私を見たNさんは、すっかり調子づいてしまい、

「ソファからお尻が離れなくなる催眠術」

「自分の名前を忘れてしまう催眠術」

「笑いが止まらなくなる催眠術」

など、しょうもない催眠術を次々に繰り出してきました。もちろん、お尻は余裕で上がるし、名前もわかるし、笑いが止まらなくなるわけもない。

しかし、「催眠術にかかってあげなきゃ」という謎のプレッシャーを感じ、いちいち「あれ?あれ?」と小芝居をしてしまいました。

今となっては、「あれ?あれ?」じゃないよ!馬鹿野郎!と思うんですが、その時はNさんのストーリーを壊してはいけない気がして必死でした。

もっとも、「笑いが止まらなくなる催眠術」に関しては、

「3、2、1、ハイッ!!面白い!!めちゃくちゃ面白いよ!!どんどん面白くなるよ!!」

とNさんが大騒ぎするので、その姿が面白くて本当に爆笑でしたが(笑)。

私が催眠術にかかっていると信じて疑わないNさん。とうとう「今から僕が指を鳴らすと、あなたの時間が止まって動けなくなります」という“時間よ止まれ系AV”みたいな催眠術をかけ始めてしまった。

「時間が止まってる間、あなたは何をされてもビクともしないし、その記憶は一切ありません。そして、僕が再び指を鳴らすと、あなたは時間が止まる前と同じように動き始めます」

おいおい、無茶言うなよ。さすがにこれは、かかったふりをするかどうか迷ったんですが、Nさんのテンションの高さにつられ、私も興奮状態になっていて(そういう意味では、多少催眠術にかかっていたのかも)、Nさんが指を鳴らした瞬間、つい体を止めてしまいました。

するとNさんは、私が本当に催眠術にかかっているかどうかを確かめるために、私のおっぱいを揉んだり鼻の穴に指を入れたり、まぶたを引っ張ったりしてきました。

真顔で人の鼻の穴に指突っ込むな!笑っちゃうだろうが!(でも堪えました)

Nさんは、この時間よ止まれ系の催眠術を気に入ってしまったらしく、その後何度もやるので、その度に笑いやまばたきを我慢するのがしんどかったです。かかったふりなんて、しなきゃよかった。

次回、催眠術編完結!

藍川じゅん

藍川じゅん

元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!

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