お金はあるのに何故買えない!?

おばあちゃんとK子

みたされない心

「お金で買えない物なんてない、お金が全て」といった考えが世の中にまんえんしているけど、お金で買えない物はごまんとある。

K子の場合がそうだ。
欲しい物はたいがい手に入れたし、欲しくなくてもお店のお客さんがどっさりくれる。体の癒しはエステに温泉。念願のプチ整形もやって、これで心が満たされなかったウソでしょ?と思うのだけど……。
K子には心を許せる友だちがいないのだ。
お店の娘とは仲良くやっている。でも、結局はライバル。みんなと飲みに行っても、どこかかまえていて安らがない。
そんなK子はアフターのない日、ホストクラブにも行ってみた。でも……。ここも結局は売上競争の修羅場。内情を知っているだけに、飲んでいるうちにバカらしくなってしまう。
「何が楽しくて、この男たちは奇声を発しているのか」
ドンペリピンクを入れながら、つい、K子は思ってしまうのだ。

どこかに、私の心を芯から暖めてくれるところはないのかしら? こんな男どもを買うのはイヤだ。
「だったら恋人を作ればいいじゃん」
比較的、仲の良いE美が言う。
まぁ、確かにそうかも知れないけれど、下心一杯の男たちを見てきたK子にすると、今のところは、恋愛にのめり込むのも何となくバカらしく思えてくるのだ。
ということで、今日も一人、自宅のリビングで孤独な酒を飲んでしまう。

おばあちゃんとのひと時

そんな時に出逢ったのが、同じマンションのおばあちゃんだった。偶然、乗り合わせたエレベーターで、重たそうな買い物袋を「持ちましょうか?」と声をかけたのがきっかけだった。
一人暮らしのおばあちゃんとK子は、不思議と意気投合。
おばあちゃんは最初、「これね、デパートで買ってきたんだけどね」と、おずおずとコーヒーキャンディを差し出した。年寄りというのは、どうして“飴ちゃん”から入るのだろう?
けれどK子は拒まなかった。それ以来、おばあちゃんの侵入率は高くなったが、K子は拒まなかった。なぜか、下心のないおばあちゃんとの付き合いが、どことなく心地よかったからだ。

以来、K子が休みの日になると、手作りのお総菜を持ってきて、茶飲み話をする仲になった。
「ああ、なごむ」
お茶をすすりながら、K子はかつて無い癒しを感じていた。
こんな時間、お金ではとても得られない。

次回の「お金はあるのに何故買えない!?」は9月17日アップの予定です。

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