お金はあるのに何故買えない!?

業界内恋愛希望

ホストクラブ初体験

エミリちゃんは結構、売れているキャバクラ嬢。
プライベートは品行方正。仕事に専念しているおかげで恋人の一人もいない。
そんな彼女に転機が訪れたのは同僚の一言だった。
「ねぇ、ホストクラブいかない?」
エミリちゃん、キャバ嬢とはいえ、ホストクラブは初進出。同じ業界だとは思いつつも、ちょっとドキドキして店に入った。
「初回は安く飲めるんだよ」
誘った同僚がホストクラブでの遊び方を伝授してくれた。
「でね、ホストクラブでの指名は永久指名で、途中で指名替えできないから、よく?選ばないとダメ。ま、言ってみれば、疑似結婚ってやつ?」
仕事でも飲んで、ホストクラブでも飲んで、ごきげんの同僚がカラカラと笑った。
「だから私、すぐには指名しないのよ。ははははは」
彼女はそう言うけれど、ホストクラブとしてはすぐに指名が欲しいわけだから、黒服が早くも、「ご指名は?」などと聞いてくる。

同僚の助言通り、今日の今日で指名をするつもりなどないし、テーブルに着いたホストはエミリちゃんから見ればカス。
エミリちゃんはじっくりと店内を見回した。すると、エミリちゃんのお店でも見かけないような、すっきりとした男が目に入った!まさに一目惚れ。
そして、つい、
「あそこのテーブルの白いスーツの人」
と、指名をしてしまったのだ。
「何、あんた、もう指名しちゃったの? バッカだなぁ」
同僚はべろんべろんに酔っぱらって、エミリちゃんを笑った。

わかっちゃいるけど本気になっちゃった

指名したホストはこの店のナンバー2。立ち居振る舞いも決まっているし、会話をしてもバカじゃない。エミリちゃんはどんどん、このナンバー2君にのめり込んでいく。
自分の店が閉店すると、ナンバー2君目指してホストクラブへダッシュ。
「そんな君って、可愛いね」
なんて言われると、仕事の疲れも吹っ飛んで、とてもロマンチックな気分になる。

そうこうしているうちに、エミリちゃんが使ったお金は、これまでの貯金の3分の2を超えた。
素に戻ると、やばいなとは思うけれど、ホスト通いがやめられない。
(何してるのよ、私。何をしたって相手は仕事。絶対に本気になってくれないし、だいたい、ホストとキャバ嬢がゴールインなんて話、聞いたこと無いわ)
と、わかっているのだけど、どうにもこうにもやめられない。
このままでは破産する。そう思ったとき、思い切ってナンバー2君に「枕」をほのめかしてみた。
その結果は、
「同業者同士、そういうことはしないのが一流だって、君もわかっているよね? 僕はそういうホストなんだ」
こういうタイプがたまらない、という人もいるのだろうけど、恋しちゃっているエミリちゃんにしてみればまさに秒殺の言葉。
以来、エミリちゃんは二度とホストクラブには行かなくなって、失った貯金の額に涙している。

次回の「お金はあるのに何故買えない!?」は11月19日アップの予定です。

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