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潰し合う女たち

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【第2話】美しき戦い(後編)

2014.11.14

元キャバクラ勤務 葵
(後編)

「う、うん。いいけど」
瑠衣さんが手渡すと、その香水を奪うように取り、思いっきり嗅いだふりをして、むせるように咳をしながらこう言いました。

「これ、トイレの匂いだね」

周りは一瞬で凍り付きました。
楓さんは満足そうに微笑み、端っこの席に戻りました。

今のは何だったんだろう。私たちはポカンとしてしまいましたが、またあの嫌味だと気付き、軽蔑したような目で楓さんを見ました。
もちろん、楓さんはこちらのことなど気にも留めない様子で勝ち誇ったような顔で携帯を見ていました。

瑠衣さんはというとさすがにイライラした様子で香水をポーチの中に投げ入れました。
私たちはそれから会話はせず、嫌な空気が漂っていました。

そして、その日に限って瑠衣さんのサッカー選手のお客さんがご来店。
瑠衣さんのヘルプで私も席についていました。しばらくすると、瑠衣さんが楓さんを呼ぶようにボーイにいました。
私は驚きましたが、瑠衣さんは何か考えてるんだな、と勘付きました。

「楓で~す。わぁー○○さんだぁ~。瑠衣ちゃんありがと~」
楓さんはさっきのことなど何もなかったかのように呼んでくれたことをただ喜んでいるだけでした。

「○○さん、楓ちゃんはじめてだよね。ナンバーワンなんだよ、かわいいでしょ」と瑠衣さんは楓さんに聞こえるようにお客さんに耳打ち。

楓さんはまんざらでもないというかんじでブリッコ加速。
「えぇーちょっと瑠衣ちゃんやめてよぉ。てか○○さん、お隣少しだけご一緒してもいいですかぁ~」
上目遣いマックスで楓さんが迫ります。
キャバクラは指名替えがいつでもできるのでそれを狙っているようでした。
すると、瑠衣さんが「あ、そうだね、来てもらおうか」と冷静に一言。

「わぁい。ありがとう~」

お客さんを挟むかんじで座る2人。
ただならぬ雰囲気の中、瑠衣さんが「あ!そうだ!」と大きめの声で何かを思い出したようにポーチから香水を取り出しました。

「これ、今日からつけてるよー。ありがとね」
瑠衣さんは香水のついている手首をお客さんに近づけます。

「おー、やっぱりお前に似合う香りだな。気に入ってくれてよかったよ」
と満足そうな日本代表選手。(笑)

奪いたくてたまらないお客さんの目の前で楓さんの表情がみるみる青ざめていきました。

私は、わくわくしながらお酒を楓さんには濃いめにせっせと作りながら笑いを堪えました。

「あっ私、お手洗い…」
逃げようとする楓さんの腕を引っ張る瑠衣さん。
「ねぇ、この匂いどう思う?」

「え、いい匂い~。さすが○○さんの選んだものは違うね~」
楓さん顔引き攣りまくりです。
瑠衣さんはわざと首を傾げて「あれー、さっきトイレの匂いって言ってたの、確か楓ちゃんだよね?ね、葵ちゃん」
私はまさかの振りに動揺しつつも大きく頷きました。

「はっ?」
日本代表選手ご立腹。喉から手が出るほど欲しかったお客はこれで一生手に入らず。
その後、すぐに席から外され、楓さんは悔しくて泣きそうな顔を隠しきれないように唇を噛みながら席を立ちました。

瑠衣さんは私の方を見て満足そうに微笑みました。


その後は、楓さんが瑠衣さんに嫌味を言うこともあまりなくなり、性格の悪い女はどこかで陥れられないとわからないのだと納得した出来事でした。
あれから10年たった今、私は当時の2人よりも歳を重ね、銀座のクラブで働いていますが、あのふたり以上の強さと美しさを持った女性にはまだ出逢っていません。

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