「最近は生意気になっちゃって、カワイイと思うのは寝顔を見ているときぐらいかな」と、小学校3年生になる息子さんのことを話してくれたのは、みなみさんだ。
みなみさんは、この息子さんが○才の時に離婚した。
その時まず頭に浮かんだことは、自分が引き取ったこの子供だけはちゃんと育てなくてはということだった。
とにかく、人の世話にならず、ちゃんと食べさせること、一人前にすることが自分の役割、そのためにはなんでもしなければいけないと思ったのだそうだ。
そういう強い気持ちに後押しされて、選んだこの仕事だから、つらいことがあってもめげない。「悩まず、くじけず、落ち込まない」と自分にいい聞かせ、とにかくお客さんに楽しんでもらうことをモットーにして仕事に取り組んでいるのだ。
子を思う母は強いのである。
それだけ気にかけてきた息子さんなのに、最近はちょっと生意気で可愛くないらしい。
「ほんと小さい時は、可愛かったのに。小さい頃は早く大きくなってほしいと思っていたのに、今は時々どうして子供って大きくなっちゃうのかな、って思ったりもしちゃう。勝手だとはよくわかっているんだけどね。でも、ほんと可愛くないの。飼っているチワックスのハナちゃんのほうがよっぽど可愛いかも(笑)。ただ、ちょっと心配なこともあってねぇ。あんまりご飯をたべないの。とくに好き嫌いがあるわけじゃないんだけど、もっと食べなさいっていっても、お腹イッパイとかいって、ほんと困っちゃう」
可愛くないといいながら、やはり息子さんが心配なのだ。
毎日一緒にいれば、怒ることも、あきれ返っちゃうことも、もてあますこともあるだろう。でも、それらをすべてひっくるめて受け止めて、みなみさんは頑張っている。これが真の母親なのかもしれない。
実は、みなみさん、ネイリストの資格も、介護福祉士の資格も、医療事務の資格も持っている。つまり、いつでも別の仕事が出来るのだ。ただ、それらの仕事だと、どうしても一定の時間は働かなければいけないし、収入だって少なくなってしまう。すると、少し距離ができはじめている母子の間が、よけい遠くなってしまう恐れだってある。
だから、みなみさんは、時間も自由で、収入も格段にいい今の仕事をしばらく続けるつもでいる。
いつとは決めていないが、少なくとも、もう少し手がかからなくなって、一人でいても大丈夫というぐらいになるまでは、この仕事で頑張ろうと思っているのだ。
その気持ちが、お客様とのコミュニケーションをスムーズにするための話題を毎日用意したり、ストレスをためないよう時々好きなお酒で発散したりという、仕事に対する積極性につながっているのだろう。
息子さんのために、前向きに仕事をしているみなみさんから、これからこの仕事を始める人へのアドバイスはと聞いてみると、
「メンタル面が大切なので、とにかくくよくよ落ち込まないこと」という答えが返ってきた。例え、嫌なことがあっても、相手を憎んだりしないで、人間ってこういう面もあるのかというようなとらえ方をし、それを自分の世界を広げるチャンスととらえること。確かに、そういう考え方ができれば、この仕事はもちろん、どんなところでも成功できるに違いない。マイナスをプラスに変える発想、やはり、母にはかなわない。
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