恋の花びら大回転

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【第95話】催眠術に挑戦!その4

2017.10.3

さんざん引っ張っちゃいましたが、催眠術師編、今回で本当の本当に完結です!

「君は僕をどんどん好きになる」と、何度も催眠をかけようとするNさん。誰かに好きって言ったり言われたりするための手段は、催眠以外にいくらでもあるのに。

Nさんは、催眠術を始めて今年で10年になるという。きっかけは「女の人に喜んでもらいたいから」。「睡眠術でたくさんの女性たちを喜ばせてきた」と、誇らしげに語っていました。

Nさんが出会った女たちのほとんどが、Nさんに気を使って、同情して、内心馬鹿にしていたのでしょう。今の私と同じように。最後まで騙されたふりを続けてしまい、とても残酷で失礼なことをしてしまったと反省しました。

「そんなの、全然かからないよ。そんなことより、イチャイチャしようよ!」と笑い飛ばしてあげた方が、きっと彼のためになったはずなのに。

休憩時間終了10分前のコールが入り、なんとなく切ない気持ちのまま帰り支度を始めました。

その時、Nさんが、なにげなくメガネを外して拭き始めました。第一印象でも思ったけど、やっぱりこの人、綺麗な顔をしている。

「メガネ外してもかっこいいね」と言うと(お世辞ではなく、ほんとにそう思った)、Nさんは照れ臭そうに、

「うん、でもね、中二病っぽいんだけど、これ『封印』なの」と、答えました。ふ、『封印』…? なに言い出したの、この子…。

「もう10年以上前だけど、師匠に『君の目は印象的過ぎて、催眠術が強くかかり過ぎてしまう場合があるから、メガネをかけて抑えなさい』って言われたんだ。だから、それからずっと伊達眼鏡をつけてるの」

と言って、眼鏡を外したまま、大きな目で私の顔を覗きこむNさん。これには、丸3時間茶番に付き合ってきた&少し同情していた私でさえも、渾身の「へ~~~~(笑)」が出てしまいました。

その歳で、本気で邪気眼って言ってたら、さすがにやべーだろ!!ちょっと切なくなって損した気分だわ!

もしかしたら、こうしたNさんの一連の行動は、全て計算尽くで、「催眠術にかかってるふりをしてあげなきゃ、さすがに可哀想すぎるという気持ちにさせる催眠術」をかけていたのかもしれない。だとしたら、Nさん、あなたは本物だ!

その後、Nさんから「今日は楽しかったですね。僕の催眠術、いかがでしたか?」というメールが来たので、

「私も楽しかったです。でも、Nさんは催眠術なんかなくてもモテると思いますよ」

と返信したところ、「よかったです。またかけてあげますね!」という返事がきました。「でも」以下が全然読めてない!この人、自己催眠にかかってしまっているのでは…。

そんなわけで、自称・催眠術師に会ってみましたが、ひたすら茶番に付き合い、ちょっと切ない気持ちになりつつも、最終的に呆れて終わるというしょうもない結果に終わりました。

自称・催眠術師に会っても、特にメリットはありません!皆さんは気をつけましょうね! 以上です!

藍川じゅん

藍川じゅん

元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!

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