インタビュー

2019.2.4

れいかサン「 店長のせいで太ったけど(笑)私を拾ってくれた恩人です」

れいかサン「 店長のせいで太ったけど(笑)私を拾ってくれた恩人です」

Profile

大塚デリヘル倶楽部
れいかサン 45才

18歳で結婚し27歳で離婚、バツイチ子なしで笑顔に愛嬌のあるアネゴ肌系美魔女。キャバクラ、熟女キャバクラを経て、2年前から風俗業界へ。現在は月休2~3日で勤務するなど非常に頑張り屋。若い頃は車に情熱を注ぎ、当時の愛車はクレスタのマニュアル。現在は海外ドラマのDVDを自宅で鑑賞することが趣味。最近、急激に太ってしまったため、ダイエットに奮闘中

大塚駅の改札前で、今回取材する女性を待つ。事前にわかっている相手の情報は「大塚デリヘル倶楽部」に勤務する中年女性ということだけ。時間は夕方4時。JRの利用客が気忙しく往来する時間帯。その中には、どことなく夜の香りをする人もチラホラ。大塚駅にはそんな半昼半夜といった独特の雰囲気がある。

待ち合わせ時間から少し遅れて、エグザイルのようなパリパリのツーブロックに、大きめのレンズのメガネをかけた、夜の世界に関わる人特有の高圧さを若干持ち、しかし、十二分にエネルギッシュな雰囲気のある店長に引き連れられ、今回インタビューする女性が現れた。

目の前の女性は、お世辞にもスレンダーとはいえない体型で、言葉を選ばずに言うと“おばさん”だ。

「れいかです! 今日はよろしくお願いしますね」

もしフリーでデリヘルを呼び、彼女が出てきたとしたら、多くの男性はひょっとしたら激しく落胆するかもしれない。しかし、愛想のいい挨拶、柔和な笑顔、近所に住んでいれば顔を合わせるたびに挨拶したくなるような親近感、男に人心地をつかせるような不思議な雰囲気があった。

結婚は18歳の頃。生き急いでたわけじゃないですよ!

大塚デリヘル倶楽部 れいかサン 45才
大塚デリヘル倶楽部 れいかサン 45才

れいかさんは今年で45歳。意外なことに、と言っていいかどうかはわからないが、風俗業界に入ったのは2年前とのこと。

「理由はお金ですね。もともと熟女キャバとか水商売をしてたんですけど、同僚に陰であることないこと言われて、お客さんも含めて人間関係がイヤになっちゃいました…。それで仕事をやめてニート状態で半年くらい引きこもってたらお金がなくなったんで、効率よく稼ぐために風俗嬢になりました。

人間関係に悩みそうにない? そうですね(笑)。わりとポジティブだと思います。でもすごく仲がよかった同僚に裏切られると精神的にキツイですね。今は大丈夫ですよ。悩みはありません! あ、体重以外は…(笑)」

人柄のよさがにじみ出る自虐。そのあとに「店長もみんなに対して面倒見がいいし、すごくいい人」と付け加える。確かに、駅から撮影場所の公園へ5分ばかり徒歩で移動したとき、れいかさんと店長は常に軽口をたたき合いながら、まるで仲のいい先輩後輩のような関係性を見せつけてくれた。風俗業界に身を置きながら、悩みがないというのもあながち嘘ではないかもしれない。

「今はこんなになっちゃいましたけど、若い頃はもっと見れる体だったんですよ! だって他校の文化祭に行けばナンパだってされたんですから。あ、他校って言い方はおかしいかな。だって高校を中退してたから。ちょっと店長、『ヤンキーじゃねえか!』なんて言わないでくださいよ! 若さを謳歌してたと言ってください(笑)

それでちなみになんですけど、文化祭でナンパしてきたその男っていうのが、私の元夫です。はい、そうです。バツイチです。相手は2つ上。デキ婚じゃないですよ。向こうの実家に一緒にしばらく住んだ後、私が18歳、相手が20歳のときに、いいタイミングということで結婚しました。

生き急いでんたんですかね~。う~ん…いえ、そんなことないと思いますよ。お互い車が好きだったので、しばらくは一緒に趣味に没頭しようと、25歳まではしっかりと避妊をしましょうと決めて。私はクレスタのマニュアルを乗ってました。夫はなんだったかな? 仕事は昼職でしたし、夜の夫婦生活も趣味も、今考えれば結婚して数年は普通に幸せな日々でした」

風俗に入ったのも、基本行き当たりばったりなんです

大塚デリヘル倶楽部 れいかサン 45才

「でも、幸せって長くは続かないもんですね。相手の両親と一緒に住んでたこともあって、だんだん気持ちにすれ違いが生まれてきました。ふたりで引っ越して両親と別居しても、一度ずれた感覚は戻せるわけもなく。結局27歳で離婚するんですけど、24歳くらいからはずっと離婚協議をしてました。

そういう時期に、旦那は私も知っている女の人と不倫をし始めて。まぁどうでもよかったんですけどね。あげくに旦那は、不倫相手の女性が働いてるキャバクラに、『お前もそこで働けば?』って(笑)。どういう神経してんだか。でも、結局その通りそのキャバクラで働いてる私も人のこと言えませんが。25歳の頃です」

これがれいかさんの水商売デビュー。後年、一時的に病んでしまうことになるが、基本的には彼女の肌に合っていたらしい。

「最初に働いたお店は27歳くらいのときにつぶれちゃったので、ほかのラウンジ系のお店に移って36歳くらいまで働きました。で、その次は熟女キャバクラにいって、ニートになるまで働きました。私自身、お酒も、人と話すのも好きなんですよ。私もそうですが、みんないろんな人生を歩んでるのがわかりますからね。長年キャバクラ勤めをしていたせいか、今のお客さんにも、まずは話を盛り上げようとするから、デリヘルっぽくないとは言われます(笑)。

最初の風俗ですか? さっき言った通り、ニート生活でお金がなくなっちゃったんで風俗で効率よくお金を稼ごうと思ったんですが、風俗業界についてよくわからない。ということで、風俗といえば吉原のソープだろうと(笑)。『○○』ってお店に連絡して…」

店長から「ババアばっかの店じゃねぇか」とまたしてもツッコミが入る。本当に仲がいい。

「また失礼なことを言って…! まぁインターネットでいろいろと検索して、名前が一番覚えやすいからそのお店にしただけなんですが。行き当たりばったりですよね。自分でもそう思います。だから風俗嬢になることに抵抗はそんなになかったですね。そこまで人生的に追い詰められてるわけでもなかったけど、『とりあえずやってみようかな』くらいの感覚です。

でも吉原は、当時住んでた横浜から通うのは大変だし、思ったほど稼ぎがよくなかったから2ヶ月くらいで辞めました。その次は渋谷の人妻デリヘル。通勤は楽になったけど、渋谷って土地柄的に20代を希望するお客さんが多くて、そこでも大していい給料ではなかったです。そんなときに知り合ったこの店長が、うちで働かないかと誘ってくれて、こっちに引っ越して東京で働くことにしました。それが1年半前ですね」

1ヶ月で10kg痩せて新しい恋人を見つけます!(笑)

大塚デリヘル倶楽部 れいかサン 45才

20代前半は普通のキャバクラで働けて、30代オーバーともなれば熟女キャバクラ、風俗に流れても年齢のせいで渋谷に馴染めず。行きついたのが大塚だった。でも、それが“都落ち”と考えるか、新天地と考えるかによって、生きるモチベーションは大きく違ってくる。そんなことを彼女を見ていると切に感じるのだ。

「今はお昼12時から夜10時が基本で、週休1日以下で出勤してます。別に強制で働かせてるわけじゃないですよ。同僚と過ごす時間は楽しいし、給料もこれまでのお店よりはだいぶいいです。それに、前は風俗嬢っていい加減な人ばかりって印象だったけど、全然そんなことなくて、むしろ昼職の人のほうがよっぽどいい加減だったりします。そういうことを実際に長く働いてみないとわからなかった。何事も経験ですよね。そういう意味では、このお店に連れてきてくれた店長は恩人です。

そう言われて、店長は照れてるのかなんなのか、微妙な表情。ともあれ、れいかさんにとっては今のお店が一番性に合っているのだろう。私生活の充実ぶりを聞くと、

「趣味ですか? 車に時間を費やすことは完全になくなりました。休日は、この仕事のことを知らない友人と食事や買い物に行ったり、海外ドラマのDVDを部屋で見通して過ごす日々ですね。離婚後、不倫を含め、いくつかの恋愛をしましたけど、今は特に相手はいないです。でも人生に卑屈になることはありません。

ただ、老後を考えると今のうちにしっかり稼いでおこうと。でもこの体型じゃないですか。お客さんからは、『飲み屋にいるみたいで落ち着くね』と言ってもらえることは多いんですけど、なかなか指名が取れなくて。せっかく店長に誘ってもらったのにお店にリターンがないのも申し訳なくて…(苦笑)」

「入店した当時は今よりシュッとしててキレイだったよ。こんなハズじゃなかったのに(笑)」と店長は苦笑交じりにボヤく。

「もともとはそんなに食べるほうじゃないんですよ。なのに店長がお昼にマックだったり、夜にはラーメンをおごってくれるからこんなことになっちゃったんです!」

「人のせいにすんな!」

「50~60代まで働けるかと言われたら、ちょっと今の店舗形態では難しそうだから、店長、シニア店を作ってくれますか?」

「鶯谷で働けよ(笑)」

「責任もって最後まで面倒見てくださいよ!」

他愛もない言い争いから、改めてお店の雰囲気のよさが垣間見える。聞くところによると、れいかさんは入店から1年半で17kgも太ってしまったそうだ。現在155cm73kg。ぽっちゃり専門店に行くには中途半端で、通常店で働くにも当然ハンディは大きい。年輪を重ねれば、さらに状況は厳しくなるはずだ。

「だから強制的に痩せさせますよ(笑)。今年は元の体型に戻すのが目標ということで」

と、店長。「1ヶ月で10kgの減量を目指します!」とれいかさんも鼻息は荒い。

「そうすれば今よりも稼げるようになるかもしれない?」

少し意地悪な質問をしてみた。

「それもありますけど、一緒においしいものを食べたり、どこかに遊びに行ける男性を見つけられたら今よりももっと楽しくなるでしょ? 今年もちゃんと縁結びのお守りを買いました。恋愛もまだまだ諦めてませんから!」

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