【第45話】「貸おじさん」後編

恋の花びら大回転

2015.8.18

さて、「おじさんを借りてみた」後編です。
デート当日、某ストリップ劇場の前でレンタルおじさんのＢさんを発見。会釈するとすぐこちらに気づいてくれました。
実際にお会いしたＢさんは、事前にサイトで確認していた写真より童顔で若々しい。物腰の低い方なので、なんとなく弟や後輩みたいな感じだ。しまった、「おじさんとデート」のはずが、確実に私の方が年上に見える！
受付のお兄さんには「デリカシーのないおばさんと、それに無理矢理付き合わされた年下の彼氏」と思われただろうな。まあ、ほぼその通りなんですが。
「僕、こういうところ初めてで…」

と、緊張気味なＢさんを尻目に、「私もなんですよ！　超楽しみ！」と勢いよくぐいぐい入場。
こじんまりとした客席に、若者からお爺ちゃんまで二十人くらいのお客さんが入っていました。ロビーには小さなバーカウンターがあり、飲酒も可能。お酒を飲みながらダンスとま●こを眺められるなんて、貴族の遊びみたい。素敵。
ショーは、休憩を含めて一時間四十分。それを一日五回繰り返します。客席の入れ替えがないため、一度入場してしまえば一日中居てもＯＫ。暇人に優しいシステムです。
ダンサー一人につき、ショータイムは約十分～十五分。一曲目のダンス（ミュージカル風やバレエ風とさまざま）が終わると、二曲目で服を脱いで客席中央のステージに移動し、三曲目は回転する台座の上で艶かしくポーズを決めるという流れ。
ダンサーの女性たちは、綺麗で本当にスタイルがいい。顔と体のバランスも、筋肉の付き方も、魅せ方も完ぺき。芸術的な美しさです。
ま●こも、彫刻みたいで全然いやらしくない。ダンサーが台座の上で脚を開いてポーズをとると、客席から拍手が沸く。「ありがたや～」ってなる気持ち、わかる。
そして、ダンサーの肉体美はもちろんのこと、最前列のお客さんたちの動きも必見。
ダンサーがステージの移動を始めると、みんなそわそわと前のめりになる。そして、ゆっくりと回転するま●こに合わせて、お客さんたちの首も同じようにゆっくり動くのでなんか小動物みたいで可愛いです。

始める前は「途中で胸焼けしたらどうしよう…」なんて心配してましたが、全くの杞憂でした。ショーが終わると、私もＢさんも「面白かったですね！！」と大興奮。いいものを見た！
せっかく二時間契約したのに、ショーに夢中でほとんど話せませんでしたが、途中でＢさんが
「僕、実はこの依頼お断りしようか迷ったんです(笑)」

とこっそり教えてくれました。
そうだよね！
見ず知らずの女から、いきなり「ストリップ劇場についてきて欲しい」なんて言われたら普通怖いし警戒するよね！
Ｂさん、こんなしょうもない依頼を引き受けてくださってありがとうございました。おかげで超楽しかったです。

気軽に話したりちょっとしたお願い事を頼んだりできるレンタルおじさん。ホストというよりは、何でも屋さんに近いようです。ドライに対応してくれるので、こちらも気負わずに済みます。