恋の花びら大回転
【第52話】スポーツの秋
元風俗嬢の元風俗嬢の風俗嬢によるすこやかコラム、今回のテーマは「スポーツ」。
風俗やキャバクラに限らず、全ての接客業でタブーとされてるのが政治・宗教・そして、スポーツの話題です。
政治と宗教は言わずもがなですが、スポーツ（特に野球とサッカー）も「話題に出すと口論やトラブルになりやすいから」
というのが主な理由です。
確かに、おじさんたちが大勢いる場所でうっかり「甲子園の季節ですね～」なんて言おうものなら、こっちがいくら軌道修正しても、すぐその話に戻って盛り上がっちゃうし、お客同士でイチャイチャし始めちゃう。
「○○はいい選手だね～」「今年の○○は強いね～」と談笑してるうちはいいんですけど、そのうち必ずプロ野球の球団や監督の悪口を言い出す奴が出てくる。これが厄介なんですね。
ちなみに、某Ｇ球団はものすごく熱狂的なファンの人と、ものすごく嫌ってる人と、明確な理由もなくなんとなく毛嫌いしている人が、それぞれかなりの数いるので、地雷になりやすい。
本気の口論になったら、もはやどうでもよすぎて仲裁に入るのも面倒です。居酒屋でやれ！
特に、70年代以前生まれ（40代以上）のおじさんたちは、野球が大好物。彼らが2人以上いる場所では、野球の話題は避けるのが無難でしょう。
というわけで、スポーツの話なんて百害あって一利なし！ と切り捨ててしまいたいところですが、私は風俗やあるいはキャバクラのフリーの一人客など、2人きりの空間でなら、最後の切り札としてこっそり使ってみてもいいと思っています。
以前、お客さんと会話が続かずに困っていた時、なんとなく「こないだ初めて球場でプロ野球観戦したんですよ」と切り出してみたら、急にお客さんがすごい勢いで喋り出して仲良くなれたことが何回かあったので、スポーツの話題には助けられています。おじさんのスポーツへの食いつきのよさ、半端なし。
ちなみに、私が知ってる野球のルールは、「打ったら右側に走る」「一気に一周しちゃダメ」程度。サッカーやラグビーに至っては、「ボールを相手のゴールに入れるのみ。ほぼ知識ゼロです。興味ないものだからこそ、お客さんと口論にならずに素直に話を聞けるのかもしれません。
もしスポーツ大好きで、野球もサッカーもめちゃくちゃ詳しい！という方でも、おじさんの前では「わかんないからもっと教えて☆」
と知らない振りを決め込みましょう。いきなり岡田・掛布・バースの話などぶっこんでしまうと、その後取り返しがつかないくらい盛り上がってしまう可能性があり、それはそれで厄介です。
タブーとされているスポーツの話題であっても、教えてもらう立場に徹すれば、会話のいい起爆剤になるはずです。
また、スポーツのルールは知らなくても、90年代の若貴兄弟ブームやJリーグの発足、80年代のキャプテン翼ブーム、70年前後のボーリングブームなど、お客さんの世代に合わせた大まかな知識を持っておくだけでも合の手が入れやすくなります。
「大勢いる場所では話題に出さない」「教えてもらう立場に徹する」この2つを守って、スポーツの話題をおおいに活用しましょう。
藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』（メディアファクトリー）が好評発売中！
