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潰し合う女たち

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【第1話】美しき戦い(前編)

2014.10.24

元キャバクラ勤務 葵
(前編)

私が見た修羅場をお話します。
初めて勤めたお店の話で、当時はまだ10代でした。周りはもちろん年上ばかりで、派手なキャバ嬢というよりは綺麗で落ち着いたお姉さんのいるお店でした。

ドレスではなくスーツ着用のお店だったので、パリッとスーツを着こなしたお姉さんたちがまぶしかったのを覚えています。みんな優しくて大好きなお店でした。

ナンバー1の楓さんは、モデルのエビちゃんにそっくりなうえ、細くてかわいい人でした。
そして、ナンバー2の瑠衣さんは女優さんかと見間違えるほどオーラのある美人でした。そんな2人の性格は真逆で、お客さんの層も全く異なりました。

楓さんのお客さんは成金の金持ちみたいな人とかキャバクラ好きのお兄さんや医者が多く、瑠衣さんのお客さんはスポーツ選手や落ち着いたおじさんが多かった。
そんな対照的なふたりの仲は正直、あまり良くなくて特に楓さんは瑠衣さんにライバル心を剥き出しにしていました。

瑠衣さんにスポーツ選手のお客さんが多いところが気に障るようで、
いつも「ねぇ、瑠衣ちゃん。次、あの選手の人きたら私呼んでよ~」とか「いいよね~、いつも野球選手と話せて。呼んでくれればいいのに」と嫌味を言うのが習慣。

そんな楓さんの態度に瑠衣さんはイライラしつつもさらっと流して大人な対応をしていました。
瑠衣さんと仲良くさせてもらっていた私は、楓さんの嫌味が始まると居ても立っても居られないような気持ちになりました。

そんな楓さんが、ある日、とんでもないことを言い始めたのです。

待機中、瑠衣さんが香水を変えたということで、みんなで「いい匂いですね~」と話していたとき、端っこに座っていたはずの楓さんが目の前に立っていました。

みんなで顔を上げると、楓さんはニヤッと笑って「ねぇ、その香水私にも嗅がせて」と。

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