恋の花びら大回転

【第16話】初おデートの思い出
いろんなところで話してる気がするんですけど、19歳の時の初デートのお話です。
19歳の私は処女喪失したばっかりで下ネタも恥ずかしくて言えないような、それはそれは可憐な乙女でございました。
それが今や会話の8割以上がセックスの話(残り2割が漫画)だし、ため息つくついでに
「はぁー…おちん●ん…」
って脈絡なく呟くようになってしまいました。お父さんお母さん、ごめん。
純情とはいえ、性欲は今と同じくらい強かった。
エッチなことしたい。でも彼氏いない。彼氏じゃない男の人とどうやってデートしていいかわからない。
ではどうしたらいいか。
悩んだ挙句、大学のベンチに座ってる学生に声をかけてみることにしました。
いきなり逆ナン。当時はそれがナンパだってこともわかってなかった。
「男の人とエッチなことがしたいから、まずは話しかけよう」
って真剣に思ってた。
今にして思えば、友達に紹介してもらうとか合コン行くとかいくらでも手はあったはずなんですけども。
要するにものすごい馬鹿だったんですね。
同じベンチにボーっと座ってる男の子がいたので「暇ですね」といきなり声をかけたら、すげービクッとしてた。
「えっ?…えっ…あ、そうですね…」
そりゃ怯えるよな。たぶん何かの勧誘と間違えられてた。
そのままワーッ話しかけて相手にたくさん質問して自己紹介もしてメアド交換するに至り、そして次の週にはデートの約束までしてた。彼女いるかもしれないのに。
若さってすごい。勢いだけでほんとになんとかなるからすごい。
で、デート当日。その男の子が連れて行ってくれた場所は、新宿の馬券売り場。
ムード皆無な上におっさんばっかりですげー怖かった。
しかも1万円分馬券買って全部負けてた。馬鹿か。お金なくなっちゃったね…って2人でションボリでした。。
初デートで馬券売り場をチョイスするそのチャレンジ精神なんなの。
気を取り直して「映画でも観よう!」ということになり、新宿をさまよった末にたどり着いたのはポルノ映画館。
競馬→ポルノ映画ってくたびれた中年肉体労働者の休日か。
ちなみに「保険レディ深夜の営業」と「義母と教師 息子の目の前で」の2本立てでした。15年経った今もサブタイトルまで言えるよこの野郎。
そんなさんざんなデートだったにも関わらず、その男の子とは結構長くお付き合いできました。今となってはいい思い出。
ちなみに、丸3年彼女がいなかったのに、いきなりベンチで逆ナンされて彼女ができたことから、友人内で「ベンチの上にも3年」ということわざが生まれてました。

藍川じゅん
元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!