【第23話】「タダマンおじさん」前編

恋の花びら大回転

2014.9.16

タダマンおじさんの性欲被害に遭っている女性は多いと思います。
タダマンおじさんとは、「とにかくタダでセックスさせて欲しい」と、周囲に性欲を撒き散らす妖怪のことです。
自分をコントロールできずパニックになっているので、しつこいし必死。どの国のどの地方へ行っても必ず湧いて出ます。
もちろん、その雌版もいます。かく言う私も、飲酒時は妖怪タダマンおばさんになりがちです。思えばあの時、全く脈のない男性をしつこく口説いて嫌な思いをさせてしまったな…と反省すること山の如し。
タダおじ・タダおばに欲求不満の塊をぶつけられたせいで、異性に迫られることに恐怖を感じるようになってしまった人も多くいることでしょう。この場を借りて謝罪文をしたためたいところですが、今日は自分のことは棚に上げて、タダマンおじさんに絡まれた時の対処法を考えたいと思います。

先日、ものすごくしつこいタダおじに遭遇しました。
私が働いているお店にフリーで来たお客で、50代後半くらいの脂ぎったおじさん。とにかくがっついてる。挨拶もそこそこに、いきなり体を触り始めて「この後ホテルに行こう」と寝ぼけたことを言い出した。
当たり前なんですけど、タダおじへの対処法として１番有効なのは「彼氏・夫がいるから無理」と毅然とした態度で断ることです。
しかし、水商売は「独身で彼氏募集中」という設定が基本。タダおじに絡まれた場合でも、角が立たないように「好きな人としかやりたくないの、キャピ☆」
とかそういう感じの適当なことを言ってやり過ごします。
そのタダおじにも同じ対応をしたところ、

「じゃあ俺のこと好きになってよ」

と意味不明なことを言っていました。落ち着け。というか、今までそんなお願いの仕方でセックスできたことあんの？
その後も、ずーっとやらせてやらせてと騒ぐタダおじ。
「そんなにやりたいなら、ソープに行ったら？　ここで時間とお金を使うよりずっと効率いいですよ」
と、正論かつ具体的な提案をしたところ、いきなり「それは恥ずかしい」とか言い出してビックリした。
そういう概念あったんだ…。今のこの醜態の方がよっぽど恥ずかしいのに。
そして、「恋がしたい」「プロ相手だと気持ちが入らない」などと、妖怪タダマンおじさんのテンプレみたいなことを言い出した。
これらは「金がもったいない」「プロ相手だと自信がない」と同義語です。
タダおじは、基本的にケチで気の小さいロマンチストなので、風俗に行く勇気がない。だから、自分より弱そうな素人の女を見ると、必要以上に気が大きくなって押せ押せになってしまうようです。

そんなわけで、妖怪タダマンおじさんと私の戦いはまだまだ続きます。（後半へ続く）