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恋の花びら大回転

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【第39話】お風俗文学館

2015.5.26

今日は、「お風俗文学館」と題しまして、風俗の先輩方が昔どんな生活をしていたのかを探っていきたいと思います。アカデミック!

今回ご紹介するのは、森光子「吉原花魁(*1)日記 光明に芽ぐむ日」(朝日文庫)。著者の森光子さんは明治38年生まれ。群馬の貧しい家に生まれ、借金のために19歳で吉原に売られます。お、重い!
※女優の森光子さんではないですよ。勘違いしないよう念のため。

花魁っていうと、派手な着物をきてみんなの憧れで…みたいなイメージですが、実際の生活は悲惨そのもの。
お客が払ったお金のうち75%(!)妓楼(*2)の取り分となり、残りの15%は借金に消え、花魁の手元に残るのはわずか1割。なのに、妓楼はペナルティが非常に厳しく何かにつけて多額の罰金を払わなくてはいけません。生活費に加えて高い着物代や髪代、医療費などすべて自腹。
働いても働いても借金は増え続け、一生廓(*3)から逃げられないという仕組みです。
食事は粗末で、病気の時も休ませてもらえず、客に乱暴されても誰も助けてくれない。40時間寝ずにお客の相手をさせられ続けたこともあるとか。
まさに牢獄のような日々!
著者は、廓のシステムや人間関係、お客さんの言動について冷静に日記に書き留めています。

「可哀想だから何にもしない」と親切なふりをして新人を手篭めにする客、痛がってるのに乱暴なプレイをして得意がる客、ケチな客、わがまま言うだけ言って金も払わず帰る客などなど…。

その人たち、約100年後の風俗にもウヨウヨいますよ、花魁!

一番腹立ったのは、よく知りもしないくせに「楽な仕事しやがって」みたいな言いがかりつけてくるおっさん。

女工(*4)の仕事は大変だけど、娼妓(*5)なんて着物は好きな立派なものが着られるし、仕事だって楽だし、性欲には不自由はないし、いいほうだ

いるいる~。
勝手な思い込みで風俗嬢に意味不明な言いがかりつけてくる奴、今でもいる~。
さすがに頭にきた著者が、理路整然と反論すると、

「おや、誰にそんな理屈を教わったんだ」

と、さらに馬鹿にしてくる。当時、そのおっさんは「男に入れ知恵された無学な女郎が生意気な口答えをしている」くらいにしか思ってなかったんでしょうけど、お前の醜態は100年後の今も残ってるし、今後も未来永劫残り続けるからな! ざまあみろハゲ!

お客のほかにも、金に汚い楼主(*6)、遊女たちをネチネチ虐める遣り手婆、友達の客を横取りする遊女など、個性豊かな実在の人物たちが生き生きと描かれていて、ぐいぐい引き込まれます。

つらいことがあっても「私も強くなろう!」と前向きな気持ちになれる一冊です。
是非読んでみて下さいね。


【用語の説明】
(1)花魁-おいらん
吉原遊郭の遊女で特に位の高い者のことを言ったが、今日では広く遊女一般を指して花魁と呼ぶこともある。
(2)妓楼-ぎろう
遊女を置き客を遊ばせる場所(これが風俗店に当たるかしら)。
(3)廓-くるわ
(周囲を堀や塀などで囲った)遊女たちの集まっている地域。遊郭。
吉原は日本最大規模の遊郭で、今も吉原といえば、ソープランド街として面影が残っているよね。
(4)女工-じょこう
工場で働く女性労働者。女子工員。
(5)娼妓-しょうぎ
特定の地域内で公認で売春をした女性。公娼。
(6)楼主-ろうしゅ
妓楼の主人(いまだと店長かな?)。

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藍川じゅん

藍川じゅん

元ピンサロ嬢。アダルト誌にてコラム連載中。著書『大好きだって言ってんじゃん』(メディアファクトリー)が好評発売中!

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