風俗嬢チエの風俗嬢ってどないやねん！！
演劇部の生徒と担任の教師が
セリフ合わせで「部長と部下」を演じる
覆いかぶさっても動かない客
この小難しいシチュエーションの前半部分をすっかり忘れていたチエは、
プレイに入ってから自分が「部下」ではなく
「部下を演じている生徒」であることに気が付いた。
…いや正式には、
「部下を演じている生徒…を演じている風俗嬢」なのだが、
なんかもーどーでもいいわ。
どうせこのお客さんかて、プレイに入れればそれでええやろ。
そう思ったのもつかの間。
ガバっと覆いかぶさって来たのはいいが、お客さんがまったく動こうとしない。なんや、こっちの出方を待ってるみたいや
…………………はっ！！！
さては、すべて分かっててチエの反応を待ってるんやな！？
コノヤロウどこまでプロ意識高いねん！
こりゃ、イメージプレイでムラムラして、
激しくイキたいお客さんとはワケが違うわ。
完璧にイメージプレイを仕上げにゃならんようや。
チエは考えた。
もぅ押し倒されてしまってるワケやから、
そーゆー雰囲気を出せばいいんやな？
「せ・・・先生・・・」
とりあえず、
「演技の練習やのに、押し倒されて戸惑ってしまった生徒」っぽく
焦ってみた。
「先生…駄目だよ学校やのに…れ…練習しないと…」
すると「先生」は、その反応に乗ってきた。
「あ…浅葉…スマン。先生つい気持ちが入ってしまって…」
しかし、そのまま動かないので、チエは力を抜いた。
「…いいよ…チエ、先生のことずっと好きだったから…」
「浅葉・・・ホンマか？」
「うん…先生のことすき…」
「浅葉…実はおれも…」
「…ホント……？？」
そして、先生をぎゅっと抱きしめた。
先生は初めて息を荒げ、興奮気味にチエを抱きしめてきて、
そのままプレイに入った。
……………合格ってコトかいな……？？
そしてフィナーレ
まぁ、なんにせよお客さんを興奮させて
プレイ突入モードまで持って行けたことで、
イメージプレイは完了ということやろう。
そっから先は、普通のおにいさんやった。
ハァハァと息を荒げて汗をかき、普通に素マタで「うっ…」と静かにイッた。
「ごめんね、イク時だけ普通で。」
というシメのセリフに、チエは吹き出してしまった。
シャワーを浴びながら、今回のプレイについての感想を聞いてみると、
「想像以上だった」との言葉をいただいた。
「正直、
風俗でここまで即興が出来る人がいると思わなかったですよ」
と、プレイが終わると最初の「真面目クン」口調に戻っていた。
「難しいテーマを出して、困らせてしまうかと思ったんですけど、
ここまで完璧にプレイしていただけて、
ホントに来てよかったです。」
それはチエにとっては、最高の褒め言葉やった。
大満足で帰っていただけるのはいつもの事やが、
こちらも大満足でお見送りしたのは初めてやった。
大満足というか大脱力というか……
とにかく難易度の高いお客さんやったわ・・・
Ｓさんの最後の一言。
「もし風俗を上がったら、ぜひウチの劇団に入ってくださいね」
・・・丁重にお断りするよ。シャチョさん。
次回の「風俗嬢ってどないやねん」は3月28日アップの予定です。
チエ
23歳の風俗3ねんせい。一緒に暮らしている彼にばれることなく仕事を続け、ガッポリためこんでいる大阪・ミナミの風俗嬢。
