風俗嬢チエの風俗嬢ってどないやねん！！
明日は我が身【2】
……40分後。
壁の向こうの入り口で、
「ありがとう！！またね！！」
という、明るいゆうかちゃんの声が聞こえた。
チエは、その声に無事サービスが終えられたことを察知し、
ホッと一息ついた。
待機室に戻ってきたゆうかちゃんは、
「緊張しました…」と、行く前ほどではないが
やっぱり泣きそうな顔をしていた。
「お疲れさん」
笑顔で迎えたチエに、ゆうかちゃんはニコッと笑顔を返し、
すぐさま洗面所で過剰にうがいを始めた。
チエは、その姿を見て少し不安になった。
チエは、自分が風俗をはじめる上で、一番最初のお客さんは
出来るだけグロいタイプの人を希望した。
言い方は悪いが、タイプ的に一番受け付けない人を
最初の仕事で無事にこなせたら、
この仕事に対して、もう自信が付くだろうと思ったからや。
結果、そこそこのお客さんに付いたが、
サービス的には難なくこなせ、
最初の仕事が終わった時は、無事に終えたことへの安心感と
開放的な気持ちさえ持ったものやった。
……しかしゆうかちゃんは……
「一体何分磨くの？」と思うほど歯磨きをして、
何度洗っても足りないようやった。
そして、次のお客さんが来ることを、こころなしか恐がっていた。
モニターで確認していたが、ゆうかちゃんが最初に付いたお客さんは、
店に時々来る常連さんで、とてもいい人やった。
40代のオジサマなので「イケメン」ではないが、
無理もしないし乱暴でもない。
しかも、今回は「初めての新人です」と
スタッフが伝えた上でのパネル指名だったので、
上手く出来なかったからといって、怒る人では決してなかったはずや。
それでもアカンかったか……？？
チエは、ゆうかちゃんを見ながら、心配になった。
「初めて」なのだからしょーがないが、
2回目で「自信がつく」か「やっぱり怖い」かは、
かなり大きなポイントや。
今後の成長過程が、ここである程度見えてくる。
「この子は、風俗自体がかなり無理があるんじゃないやろか…」
チエが、ゆっくりゆうかちゃんと話しをしようと思った矢先…
またゆうかちゃんにパネル指名が入ってしまった。
どうやら、「今日が風俗デビューの新人」というのは、
テクの有無にかかわらず、客からは人気が高いようだ。
「レア感」……？？
…すいませんね。風俗3年目の古株で。
しかも今年27だし？？
ご想像通り、朝から指名1本も入ってねーーよ！！
……いや、それは置いといて…
ゆうかちゃんはまた不安を隠しきれない顔で、
サービスルームへ向かった。
チエは心配で心配でしょうがなく、
無事終わるまで待っていたかったのだが、
あいにくその日は夜の仕事がせまっていたため、
一足早く、店を上がることになってしまった。
その後が気になるチエは、夜の仕事も気が気ではなく、
翌日になるのを心待ちに待った。
……そして翌日。
チエが店に出勤すると、ゆうかちゃんは……
……ドエライ事になっていた……
次回の「風俗嬢ってどないやねん」は5月8日アップの予定です。
チエ
大阪・ミナミの風俗3ねんせい。一緒に暮らしている彼にバレることなく仕事を続け、ガッポリ貯めこんでいる。
